インドネシアの製造業の現況と今後を考察

弊社の輸出国の1つであるインドネシアは、製造業を中心に経済成長を遂げる発展途上国です。2024年の第2四半期（4～6月期）では、前年同期比で5.05％の実質GDP成長率を記録しましたが、これは前期の5.11％からやや減速したものの、市場予想通りの結果となりました。

参考：インドネシア機械産業の現況と 今後の展望｜ジェトロ（日本貿易振興機構）
参考：インドネシア経済|ニッセイ基礎研究所

経済成長の背景

インドネシアの経済成長は、製造業を含む多様な産業が支えていますが、特に2024年4～6月期は消費の鈍化が全体的な成長率の低下を引き起こしました。家計の消費支出がGDPの半分以上を占めているため、消費動向が成長に与える影響は大きいです。

この時期は、輸送・通信業やホテル・レストラン業が好調で、前年同期比でそれぞれ6.84％、6.80％増加しました。一方、食品や飲料、保健・教育などの消費は伸び悩みました。

製造業の成長と課題

製造業はインドネシアのGDPの約2割を占める重要な産業であり、2024年4～6月期では前年同期比で3.95％の成長を見せました。しかし、これは前期の5.99％からは鈍化しており、成長ペースが減速しています。製造業の中でも、機械・設備投資が6.08％増と好調でしたが、建設投資の伸びが5.31％に留まったことが全体の鈍化に繋がっています。

インドネシアの製造業は技術革新と資本投資の両方が不可欠です。特に、インフラ整備の拡大や自動化の推進が重要となっています。また、輸入に依存する現状を克服し、国内での生産能力を向上させることも今後の課題です。

外需の改善と輸出産業

インドネシアの経済は、輸出産業にも支えられています。2024年4～6月期には、財貨とサービスの輸出が前年同期比で8.28％増加し、そのうち財貨輸出は7.73％、サービス輸出は14.24％と二桁の成長を遂げました。特に石炭やニッケル、機械などの主要輸出品目が好調で、世界的な需要の改善がその背景にあります。また、観光業も回復しており、外国人観光客の流入がサービス輸出を押し上げています。

政府政策と将来の見通し

インドネシア政府は今後、プラボウォ新政権の下で財政支出を拡大し、首都移転や給食無償化などの政策を推進する計画です。これにより、短期的には政府消費の増加が予想されますが、一方で財政規律の維持に対する懸念も広がっており、外資の流出や通貨ルピアの下落が警戒されています。

また、インドネシア中央銀行は2024年4月に利上げを実施して以来、政策金利を据え置いています。インフレ率が安定しているため、今後の米国の金利動向やインフレ状況次第では、利下げの可能性も視野に入っていますが、通貨の減価圧力が続けば、利下げは先送りされる可能性もあります。

まとめ

インドネシアの製造業は、全体的に成長が続いていますが、技術革新や国内生産の強化が今後の発展には不可欠です。政府の積極的な政策や外需の回復によって経済は安定していますが、消費の鈍化や投資の減速、財政規律への懸念などの課題も抱えています。製造業のさらなる成長と競争力強化のためには、持続可能な投資とインフラの整備が求められます。

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