2024年は日本の工作機械受注市場が波乱の一年を経て、最終的には明るい兆しを見せた年となりました。
特に12月には、受注総額が前年同月比 11.2%増、前月比 18.4%増 と大幅な回復を見せ、業界全体の期待感を高めました。
この記事では、2024年の工作機械受注動向を振り返り、今後の展望について考察します。
目次
2024年の工作機械受注動向
- 前半の減速
- 2024年初頭は、世界経済の不透明感が続き、工作機械受注は緩やかな減少傾向にありました。
- 特に内需が伸び悩み、民需(船舶・電力を除く)は停滞を見せる月もありました。
- 後半の回復基調
- 夏以降、欧米中銀の利下げや中国の景気刺激策が徐々に効果を現し、外需を中心に受注額が回復。
- 特に12月には、受注総額: 1,412億5,900万円(前年同月比 11.2%増)、内需: 前年同月比 4.4%増、外需は 14.1%増 と堅調に推移。
- 官公需と外需の強さ
- 官公需は、防衛やインフラ関連の投資拡大により12月単月で 49.9%増 と大幅な伸びを記録。
- 外需は、アジア市場の堅調な需要や為替の円安基調に支えられ、通年を通じて安定した増加を見せました。
2024年を通じた注目点
- 設備投資の増加: 民需(船舶・電力を除く)は年後半で顕著な回復を見せ、企業の設備投資意欲が高まったことが伺えます。
- 機種別の動向: 航空機(355.1%増)や原動機(63.6%増)といった成長分野が全体の受注額を押し上げました。
- 地域別の強弱: 国内市場の回復に加え、中国をはじめとするアジア市場での需要拡大が顕著でした。一方、欧州市場は低迷が続き、地域差が見られました。
2025年の展望
2025年は、世界的な景気刺激策の効果が引き続き期待される一方で、以下の点に注目が必要です。
- 国際政策の影響
- 欧米中銀の利下げが所期の効果を発揮すれば、住宅や自動車産業を中心とした需要回復がさらに進む可能性があります。
- 中国では不動産市場の回復が限定的である一方、製造業への投資が継続されると予想されます。
- 工作機械受注サイクルの位置
- 現在の受注サイクルは「低水準・伸び率プラス」の局面にあり、過去の経験則から今後も上昇基調をたどることが期待されています。
- 新興分野の拡大
- 航空機やEV(電気自動車)関連分野での需要増加が見込まれ、工作機械業界にとって新たな成長エンジンとなる可能性があります。
結論
2024年の工作機械受注市場は、前半の減速から後半の回復基調へと転じ、特に12月の大幅回復が印象的な年となりました。これにより、2025年に向けての明るい展望が見えてきています。国内外の需要に迅速かつ柔軟に対応することで、さらなる成長が期待されます。
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