こんにちは、株式会社ダイナの広報担当・松本です。
2024年5月14日、日本工作機械工業会が発表した4月の工作機械受注額(速報値)は、前年同月比9・3%減の1172億円となり、16ヶ月連続で前年同月を下回りました。内需・外需ともに低迷が続いております。
この背景には、どのような要因が考えられるのでしょうか?
1. 中国経済の減速懸念
中国は工作機械においても主要な輸出先であり、その経済減速は大きな影響を与えます。1つはゼロコロナ政策の影響です。都市封鎖や移動制限などの措置は、経済活動に大きな打撃を与えました。都市封鎖や物流制限により、サプライチェーンが混乱し、企業の生産活動が阻害されたほか、先行き不透明感から、企業の設備投資や新規事業への投資が萎縮しました。
もう1つは、不動産市場の低迷です。中国経済の大きな柱の一つである不動産市場は、2021年後半から低迷しています。不動産企業は過剰な債務を抱えており、資金繰りが悪化しています。住宅価格の下落懸念から、住宅購入控えが広がり、市場全体の冷え込みが進んでいます。また、政府による不動産市場の規制強化が、市場心理を悪化させました。
2. 欧米の金利高
欧米の金利高は、設備投資の抑制につながります。欧米の金利高が設備投資抑制につながる理由は、主に3つが挙げられます。
1つは、資金調達コストが増えるためです。企業は設備投資を行う際、銀行からの融資や社債の発行など、さまざまな方法で資金を調達しますが、金利が高くなると、これらの資金調達コストが上昇します。特に、中小企業にとっては、金利上昇の影響が大きく、設備投資を断念したり、規模を縮小したりするケースが増えかねません。
2つ目は、投資収益率の低下です。設備投資を行う場合、企業は将来の利益を期待します。しかし、金利が高くなれば、将来の利益の現在価値が低くなります。同じ投資を行っても、金利が低い場合よりも得られる利益が少なくなるということです。そのため、企業は投資収益率を比較検討し、金利上昇の影響が大きい投資を控える傾向があります。
3つ目は、経済活動の鈍化です。金利が高くなると、消費者や企業の支出が抑制され、経済全体が鈍化する懸念が高まります。経済活動が鈍化すると、将来の利益が減少する可能性が高くなるため、企業は先行き不透明感から、設備投資を慎重に判断するようになります。
まとめ
2024年4月の工作機械受注は、16ヶ月連続で前年同月を下回り、内需・外需ともに低迷が続いております。今後の見通しは、5月は前月比横ばいから微減の予想ですが、夏場以降は改善していく可能性があります。
今後の動向に注目しましょう。
コメント