9月の工作機械受注総額は、前月比で13.1%上昇し、1,252億9,700万円となりました。前年同月比では6.5%減少しているものの、1,000億円の目安を超える結果となりました。今回の考察では、2024年9月の工作機械受注統計の上昇要因および今後の推移について考察します。
2024年9月の工作機械受注統計の内訳
9月の工作機械受注総額が内需・外需ともに上昇した要因は以下の通りです。
- 内需: 前月比30.1%増加。国内の設備投資が活発化していることが予想される
- 外需: 前月比6.2%の増加。外需の伸びは比較的緩やかですが、世界的な製造業回復の影響がみられます
内需上昇の要因
内需が大幅に上昇した理由として、以下の要因が考えられます。
設備投資の堅調な維持
日銀短観(9月調査)でも示されているように、製造業を中心に設備投資は依然として堅調です。特に、脱炭素化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指した投資が増加しており、省力化やサプライチェーンの再構築に伴う需要が大きく影響しています。また、収益回復による投資余力が改善していることも、国内受注の増加に寄与していると考えられます。
参考:短観(要旨)(2024年9月) : 日本銀行 Bank of Japan
円高による輸入部材のコスト低下
為替市場では円高の影響で、輸入部材のコストが低下していることが、設備投資を後押ししています。これにより、国内での機械の導入コストが軽減され、受注が増加している可能性があります。
外需上昇の要因
外需の増加は、世界的な景気回復が進んでいることと関連しています。
半導体需要の回復
半導体業界を中心としたグローバル需要の回復が、外需を押し上げています。特に製造工程に必要な工作機械の需要が増加しており、日本の工作機械の品質と技術力が高く評価され、受注が増えています。
アジア市場の回復
中国やインドなどのアジア市場で、産業活動が徐々に回復しています。特に中国では政府が追加の金融緩和策を実施し、不動産市場の支援策を打ち出していることから、製造業の回復がみられます。これが日本の工作機械に対する需要を押し上げる要因となっています。
今後の展望
9月の統計では前年比でマイナスとなっていますが、受注額は依然として高水準を維持しています。今後の社会情勢や経済状況次第では、さらなる上向きの可能性もあります。
しかし、引き続き供給制約や人手不足、為替の影響など、外部要因が工作機械の受注に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。工作機械業界は国内外ともに需要が安定している一方で、供給面での課題に取り組むことが求められる局面となっています。
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