こんにちは。株式会社ダイナ広報担当の松本です。
今回は、2025年3月に発表された工作機械受注統計速報をもとに、なぜ受注額が大きく伸びたのかを考察していきます。
3月は前月比27.8%増、前年同月比でも+11.4%
2025年3月の工作機械受注総額は、1,511億400万円。これは前月比127.8%、前年同月比111.4%と、大幅な上昇を記録しています。
中でも特筆すべきは内需の回復で、前月比145.9%と大幅に伸長。これは国内での設備投資意欲が高まっていることを示しています。
では、なぜこのような上昇が起きたのでしょうか?
上昇の背景①:国内設備投資の再加速
第一生命経済研究所のレポートによると、国内では設備投資計画が堅調に推移しています。企業による省力化・自動化のニーズに加え、生産能力の増強や再編成が進んでいることが受注の増加につながっています。
また、日本の製造業PMI(購買担当者景気指数)も2025年2月時点で49.0と若干の改善を見せており、景気の底打ち感が出てきたことも後押ししていると考えられます。
参考:工作機械受注が教えてくれる世界経済と日本株(25 年2月)|第一生命経済研究所
上昇の背景②:外需を支える中国の景気刺激策
外需(輸出向け受注)も前月比120.6%、前年同月比117.9%と高水準を記録しています。
特に注目されるのが中国市場の回復です。2024年秋以降、中国当局が本格的な景気刺激策を実施し、その効果が徐々に表面化しています。
- 社会融資総量が前年比+8.2%と上昇
- クレジットインパルス(新規与信のGDP比変化)もマイナス幅縮小
といったマネー関連指標に改善が見られ、これが中国国内の設備投資や製造業活性化に波及していると考えられます。
上昇の背景③:米国の製造業回復と駆け込み需要
米国市場でも、製造業PMIが2025年2月に52.7まで上昇し、景気回復の兆しが見られます。これは、政策の不透明感が一時的に後退し、大統領選後に投資案件が実行に移されたことが一因とされています。
さらに、関税引き上げ前の駆け込み需要も発生しており、輸出型工作機械メーカーへの追い風となりました。
まとめ|工作機械受注は「上昇初動期」か?
2025年3月の工作機械受注は、内需・外需ともにバランスよく伸びた結果、大きく上昇しました。
とくに注目すべき点は、以下の通りです。
- 国内の設備投資の底堅さ
- 中国の政策支援による外需の回復
- 米国の製造業景況感の改善
これらが複合的に作用したと考えられます。
今後の注目点としては、この回復基調が持続するのか、またどの産業に偏った受注かも注視すべきポイントです。
当ブログでは、引き続き工作機械受注の動向を追い、読者の皆様にわかりやすくお伝えしてまいります。
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